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柔らかく上品なピンク色の四角形の缶。角が丸まっているので手に取りやすい。蓋を開けると、包装紙の合わせ目にリーガロイヤルの2つのRをデザインされた封蝋=シーリングスタンプが。
これはいいなあ、ここからすでに気分が高まる。封を切って包装紙を開くと、まずバターの芳醇な香りがふわりと広がる。まぎれもないフランス・イズニー社のA.O.P.認証発酵バターによるものだ。その後、ずらり4列に並んだ花型のサブレが目に入る。
「ロイヤル サブレ」は2022年にシェフパティシエの岡井 基浩もとひろさんをはじめ、当時のリーガロイヤルホテル大阪のパティシエたちが試作を重ねて商品開発して発売した逸品だ。
岡井シェフは、「1つ食べると止まらなくなるんです」とサブレを前に、いたずらっ子のようににっこり。レストランのコース料理のデセールから、「グルメブティック メリッサ」のさまざまなケーキ、チョコレート、アイスクリーム…。焼き菓子にしてもパイ、フィナンシェ、マドレーヌ、シュークリームの皮…と、普段責任者として手がける洋菓子類だが、なかでもこのサブレが「自分にとっては一番好きだ」とのこと。子どもの頃から今日まで引き続き、出身地・熊本県の「天草サブレ」や沖縄の「ちんすこう」などが好物だそうで、「僕は元々クッキー(サブレ)が好きだったと自認しています」と話す。
この「ロイヤル サブレ」は、おおよそ半世紀前、フランス人シェフパティシエがつくったレシピがベースとなっている。発売当初は、直径約9センチ、厚さ約0.8センチの大きなもので、「2枚入りで販売し、大きいので皆さん割って食べていましたね」と岡井シェフ。今回のこの取材の前に、岡井シェフ自らが、発売当初のレシピや製法でサブレを再現してくれた。
「生地をひとつかみずつ、こうして手でこねて、、、」と、まな板の上で掌(たなごころ)をつかって、押しつけて生地を練り上げていく。それを一回大きくまとめて寝かし、またひとつかみずつ同じ手作業をやる。力が要る仕事だ。
「先輩のパティシエから“1回ではダメ!2回やりなさい!”といつも言われましたが、どんな意味があるのかなぁ、と思いながら無我夢中でやっていましたよ」と、その頃からの伝統の製法を忠実に守って焼いた。この工程によってグルテンの作用が強まりしなやかに焼け、割れにくくなる。
写真のように、オールドスタイルのサブレは、現在のものに比べると焼きが浅かった。バゲットもしかり。「それは時代の流れなんでしょう」とのことだ。そして「この小さくなったサブレの方が断然おいしい」と岡井シェフは余裕の笑み。
自らが「大好きだ」というこのサブレ、岡井シェフは「朝食でも昼ご飯でも、その後のデザートとして食べるのが好きなんです」と熱く語る。紅茶であれ、日本茶であれ、コーヒーであれ「飲み物は選ばない」のが特長だ。
さて、興味深い「ロイヤル サブレのイノベーション」の話を聞きながら、久しぶりに口にするサブレ、カリッと噛めてその後サクッときて、バターの風味が尾を引く。ダージリンのストレートを合わせていただくとさらに艶っぽくおいしさが伸びる感じだ。
最後に付け加えるが、半世紀前のサブレも「やや柔らかいサクサク感」が新鮮で軽い感じがして、これまたおいしい。甲乙つけがたい。ぜひ、再現していただき、メリッサの店頭で買えないものか。
グルメブティック メリッサの「ロイヤル サブレ」¥3,800
取材・文/江 弘毅
江 弘毅(こう・ひろき)
編集者・神戸松蔭大学教授。街の食文化を独自の視点で捉える考察に定評があり、新聞や雑誌、WEBなどの連載多数。著書に『いっとかなあかん店 大阪』『神戸と洋食』『問い直しファッション考』など。
リーガロイヤルホテル大阪 ヴィニェット コレクショングルメブティック メリッサ
TEL 06-6448-2412(直通)
大阪市北区中之島5-3-68 1階
10:00~19:00
年中無休
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