GOURMET

まるでホールケーキのような贅沢パン。

男もすなる「おもたせ考」
ロイヤル マロンクローネ

王冠をモチーフにしたフォルムは、ティータイムのテーブルが華やかになりそう。訪問先への手土産や、ちょっとしたホームパーティでシェアして楽しむのにもぴったり。

 これまた、大きいケーキ、いやパンである。というよりも視界に入るや「おっ」と声が出る、堂々たるビジュアルだ。

 マロンクローネ、つまり栗の王冠。直径が16センチ、高さ12センチ。ありそうでなかなか例を見ない存在感が伝わってくる。で、これ、どう食べるとおいしいのだろう? まず、どうカットすればいいのか。

 ブーランジェの木下 倫宏みちひろさんは、躊躇なくアタマからズバッと4等分にして、お皿の上に横向きに寝かせられた。

クロワッサン生地の中には、バターの香りが芳醇なマロンクリームとカットした栗、大納言小豆がたっぷりと入っている。

 「極上の大きなクロワッサンを食べるように、ナイフもフォークもなしで、手で大きくちぎって食べてください」と木下さん。

 なるほど、サクッと感とふんわり感が一体となって味わえ、上質のバターのうまく焼けた香ばしさがそのままダイレクトに、という感じだ。もちろん一番のハイライトとなっているのは栗。メインに使われているのは、トッピングされた渋皮栗。これはアプリコットジャムにコーティングされている。そしてパンの中にアレンジされている大きく刻まれた黄栗。その上品な甘さをさらに強調させるかのような大納言小豆。

 生地全体から感じられる絶妙な塩加減がそれらの旨み、つまりスイーツ感を引き立てている。ヨーロッパのスイーツに違いないのだろうが、なんだか和テイストが感じられる。脳裏に浮かぶのは、長い時間をかけて日本の伝統に磨かれたような洋食だ。

 聞けば今から40年以上前に、京都グランドホテル(現・リーガロイヤルホテル京都)で考案されたクローネだとのこと。パンとお菓子の中間、どちらのニーズにも応えられるようなものをと、かなりの時間をかけて試行錯誤して完成した。

 元々のオリジナルは栗ではなくオレンジで、販売直後からブレイク。オレンジクローネはデパートの催事などでも販売されていた。

 今はオレンジとマロンの2種類をリーガロイヤルホテル大阪のメリッサだけで売っている。大阪に来るたびに買って、東京へ帰る新幹線の中でペロッと1個食べてしまう女性ジャーナリストもいるとのことだ。

 手強いパンであるが、するっとボリュームいっぱい食べられる絶品。家でいただく際は、「オーブントースターで少々温め直すとさらにおいしいですよ」と聞いたので、ぜひ、試してみたい。

おもたせ

グルメブティック メリッサの「ロイヤル マロンクローネ」

¥1,920(1個)

江 弘毅(こう・ひろき)

編集者・神戸松蔭大学教授。街の食文化を独自の視点で捉える考察に定評があり、新聞や雑誌、WEBなどの連載多数。著書に『いっとかなあかん店 大阪』『神戸と洋食』『問い直しファッション考』など。

リーガロイヤルホテル大阪

ヴィニェット コレクション

グルメブティック メリッサ

TEL 06-6448-2412(直通)

大阪市北区中之島5-3-68 1階

10:00~19:00

年中無休

※料金はすべて税金・サービス料金を含みます。

※写真はイメージです。

※メニュー内容は季節・食材の入荷状況等により変更する場合がございます。

※状況により、営業内容を変更する場合がございます。ご利用の場合は事前にご確認ください。

Share
facebook X line
Like