TRAVEL

小倉南~若松 北九州の自然を体感

※当記事は『The ROYAL』2015 年夏号でご紹介した内容です。商品やサービスの内容・料金は変更になっている場合があります。

リーガロイヤルホテル小倉からはじまる旅

平尾台 自然の郷
春は新緑、秋は黄金色のススキ、冬は雪の間からピナクルが顔を出し独特の景観となる。「平尾台 自然の郷」は、平尾台をよりよいフィールドにするために誕生した施設で、レストランやショップも併設。

 日本三大カルストの一つに数えられ、国の天然記念物にも指定されている平尾台と、レトロな港町風情がロマンティックな若松。
 今回は、自然をこよなく愛する旅ライターの宮本喜代美さんが、北九州の山と海を巡る、夏休みに最適な旅をご案内します。

(写真/中西 ゆき乃)

「羊がいっぱい!?」独特の景観に大興奮

千仏鍾乳洞
国の天然記念物に指定されている平尾台で最も有名な鍾乳洞。全長は約900mで、入口から480m以降は地下川を歩くことになるため、奥まで行く場合は入口にて無料の貸草履に履き替えてから入洞しよう。所要時間は往復約40分。

 福岡に越して来てからというもの、阿蘇山や屋久島をはじめとした九州の原始的でダイナミックな自然に魅了され続けているのだが、今回ご紹介する平尾台も、ぜひ足を運んでいただきたい唯一無二の素晴らしい場所だ。
 平尾台は標高370~710mにある大規模なカルスト台地で、ピナクルと呼ばれる石灰岩柱による羊群原ようぐんばるが見渡す限りに広がっている。「平尾台の石灰岩は、他のカルスト台地のものとは組成が異なり、全体的に丸みを帯びた形をしています。だから羊の群れのように見えるんですよ」と、ガイドしてくださった「平尾台 自然の郷」の西中甲児さん。牧歌的な景色を眺めながら、あたたまった土の匂いを胸いっぱいに吸い込めば、野山を走り回っていた幼い頃の私に逆戻り。遠く大分県の由布岳や鶴見岳などが望める開放感もこの上なく、サギソウなど希少な高原植物や、初めて聴く野鳥の声にワクワクと心が駆け出していく。

牡鹿洞
差す光が神々しい、日本では珍しい入口が竪穴の観光洞。全長約400m、高低差約50mの洞窟で、オオツノジカの化石が見つかったことからこの名に。ニホンカワウソやナウマンゾウの化石も発見されている。所要時間は往復約30分。
水の中をジャブジャブ歩ける千仏鍾乳洞せんぶつしょうにゅうどうや、全国的にも珍しい入口が竪穴の観光鍾乳洞・牡鹿洞おじかどうへも好奇心の誘うまま訪ねる。ひんやりと湿り気を帯びた洞内は、気が遠くなるほどの歳月がつくり上げたマーブル模様や艶っぽい曲線で埋め尽くされている。子どもの頃に大好きだったテレビ番組、「水曜スペシャル・川口浩探検隊」よろしく、探検家気分で洞内へ歩みを進める…とはいえ、いずれも観光洞として整備されているので実はとても安全。気軽に、そして本格的に鍾乳洞歩きを楽しめるからこそ、多くの方におすすめしたい。
せんぶつ茶屋
千仏鍾乳洞の入口にある軽食店。小豆を混ぜたサツマイモ餡が入ったやさしい甘さの手づくり蒸し饅頭・カルストまんじゅう¥100と、平尾台で採れた梅で作った梅ちゃんジュース¥200が2大名物。平尾台の水で淹れたテイクアウトのコーヒー¥250やうどん、そば、カレーなどのメニューも揃う。

 鍾乳洞をめぐった後は、「せんぶつ茶屋」で名物・カルストまんじゅうを味わうご褒美タイム。疲れた体に梅ジュースの甘酸っぱさが染み渡る。平尾台〜鍾乳洞をとことん遊び尽くすためにも、スニーカーなど履き慣れた靴で出かけよう。
 くたくたになるまで遊んだ後はホテルに戻り、6階ヘルスクラブのスパで汗を流してから「日本料理 なにわ」へ。カウンターで、目の前で揚げられる、あつあつの天ぷらや季節感あふれる料理を堪能し、至福の時を過ごした。

リーガロイヤルホテル小倉「日本料理 なにわ」(1階)
四季を愉しむ日本人ならではの心と旬の味わいでのおもてなし。地元の新鮮な魚をはじめ、四季折々の会席をお召し上がりください。
うにとキャビアを添えた 湯葉・じゅんさいの煮凝り¥1,426。 ※7・8月メニュー

【DATA】

平尾台自然の郷

福岡県北九州市小倉南区平尾台 1-1-1
TEL 093-452-2715
3~11 月は 9:00~17:00(GW・夏休み中の土・日・祝日は~18:00)
12~2 月は 10:00~16:00
入園無料(キャンプ場など一部施設は有料)
火曜休(祝日・振替休日の場合は翌日) 12/29~1/3 休 ※1/1 は初日の出会い

千仏鍾乳洞

福岡県北九州市小倉南区平尾台3-2-1
TEL 093-451-0368
9:00~17:00(土・日・祝日は〜18:00)
入洞料:大人¥800、高校生¥600、中学生¥500、小学生¥400 無休

牡鹿洞

福岡県北九州市小倉南区平尾台2-6-58
TEL 093-451-0165
10:00~17:00( 土日・祝日・夏休み中は〜18:00)
入洞料:中学生以上¥500、小学生¥300 不定休 ※要問い合わせ

せんぶつ茶屋

福岡県北九州市小倉南区平尾台3-2-1
TEL 093-451-0368
9:00~17:00(土・日・祝日は〜18:00)

リーガロイヤルホテル小倉「日本料理 なにわ」(1階)

営業時間 ランチ 11:30~14:30/ディナー 17:30~21:30(ラストオーダー 21:00)

街のシンボル・若戸大橋は父性すら感じさせる存在感

若戸渡船
戸畑〜若松間を行き来する渡し船で年間60万人が利用。1時間に3〜5往復し、通勤・通学の足として親しまれているほか週末は観光客も多い。自転車を持ち込むこともできる。

 翌日は、戸畑から「若戸渡船」で若松へ。距離にして約400m、わずか3分の船旅だが、海の開放感を味わうにはもってこいだ。船上で潮の香りに包まれながら眺める港湾景観は格別で、少し奥には北九州工業地域も望めるため、工場萌えの方にもおすすめだ。

若松バンド
国の登録有形文化財でもある旧古河鉱業若松ビルや上野ビル、石炭会館など、大正期の建物が見られる。レトロビルは現役で使われており、ビル内には、雰囲気を生かしたオシャレなカフェや雑貨店などが近年増加。散歩しながらお店めぐりするのが人気となっている。
三日月屋若松店
若松バンドの一角を成すビル、石炭会館内にあるクロワッサン専門店。米麹由来の天然酵母を使用した、表面カリッと中はもっちりのクロワッサンは、プレーン¥185のほかメープル¥195、きなこ、よもぎ各¥216など常時12種類以上揃う。
常温で3日と日持ちするので土産にも最適。
到着した若松は、明治から昭和初期にかけて日本一の石炭積出港として賑わった街。洞海湾を臨む海岸通り、通称「若松バンド」には今も大正期築の堅牢なビルが立ち並び、ウォーターフロントとして美しく再整備されている。ここでのお楽しみは、レトロビル・石炭会館に店を構える「三日月屋みかづきや」のクロワッサン。海に面したベンチで焼きたてのほんのり甘いクロワッサンを頬張れば、心底くつろいだ気分が味わえる。
若戸大橋
橋長627m、全長約2100m、1962(昭和37)年に開通した戸畑と若松をつなぐ吊り橋。この橋の完成がきっかけで日本の橋の長大化が進んだといわれている。かつては歩道もあったが、現在は車と原付のみ通行可能。

 そんな若松で過ごす時間のすべてに雄々しい存在感を放つのが「若戸大橋」。建設当時、東洋一と謳われた真っ赤な吊り橋は、街のどこに居ても目に入り、街や暮らす人々を見守っているようだ。

くきのうみ花火の祭典
1986(昭和61)年より地域の活性化ならびに北九州洞海地区の発展に寄与する目的で開催。打ち上げ花火や仕掛け花火など各種の花火が繰り広げられ、毎年30万人近くの来場者で賑わう。若戸大橋に仕掛ける「ナイアガラの滝」は圧巻。

 北九州市を代表する花火大会の一つ「くきのうみ花火の祭典」では、若戸大橋を使った巨大なナイアガラ花火が登場する。この界隈の夏の風物詩となっている、キラキラ輝く光の帯を見に、この夏はぜひ北九州へいらしてほしい。

【DATA】

若松渡船

福岡県北九州市(戸畑区〜若松区間)
TEL 093-861-0961(渡船事業所)
戸畑始発5:55~若松最終22:30
乗船料:大人¥100、小児¥50、自転車¥50 無休 ※荒天時運休の場合あり

若戸大橋

福岡県北九州市(戸畑区〜若松区間)
通行料:普通車¥100、軽自動車・原付¥50

三日月屋若松店

福岡県北九州市若松区本町1-13-15
TEL 093-771-7979
9:30~19:00
月曜休(祝日の場合は営業)

くきのうみ花火の祭典

20:00~20:40
会場:洞海湾、若戸大橋周辺
TEL 093-761-5321(若松区役所総務企画課)

リーガロイヤルホテル小倉に泊まり、勇壮な夏祭りと日本初のアーケード商店街を探索。

映画「無法松の一生」の舞台としても知られる
小倉祇園太鼓

 小倉城内にある八坂神社の無病息災を祈る夏の例大祭で、福岡県指定無形民俗文化財に指定され、京都の祗園祭をルーツにした約400年余の歴史を誇る全国三大祗園の一つ。小倉城周辺を舞台に「ヤッサヤレヤレ」のお囃子とともに、各町の思い思いの飾り山車が練り歩く。

小倉祗園太鼓

毎年7月第3金・土・日曜に開催
TEL 093-541-4189(北九州市観光情報コーナー)

アーケード商店街、“銀天街”はここから始まった
魚町銀天街

勝山通り沿いの歩道に設置されている「銀天街発祥地」の碑。

 1951(昭和26)年、日本で初めて公道上にアーケードを設置。当初、前例がないという理由で設置許可がなかなかおりなかったが、商店街幹部の熱意で建設できることに。商店街の愛称は公募により、“銀天井に輝く街”を意味する「銀天街」が選ばれた。以降、銀天街の名が各地へ広まったことから銀天街発祥の地ともいわれている。

魚町銀天街

福岡県北九州市小倉北区魚町
TEL 093-521-6801(魚町商店街振興組合)

※特に記載のない場合、料金は税金・サービス料を含みます。
※各施設、営業時間に変更のある場合がございます。ご利用の際はご確認ください。
※当記事は『The ROYAL』2015年夏号でご紹介した内容です。商品やサービスの内容・料金は変更になっている場合があります。
Share
Like