GOURMET

ショコラティエの“想い”が詰まったロールケーキ。

男もすなる「おもたせ考」レクラのロールケーキ

 「レクラのロールケーキ」。限りなくシンプルな名称である。店名が「レクラ」そして「ロールケーキ」という、そのものズバリ。

2024年7月、「ショコラブティック レクラ」が「グルメブティック メリッサ」内に移設リニューアルするタイミングに、満を持して登場した記念アイテムだ。

 この「レクラのロールケーキ」の企画制作にあたって、シェフ ショコラティエの岡井基浩おかいもとひろさんは「日本に根付き、歴史を刻んできたロールケーキを問い直したい」と意気込んだ。それは濃厚なイメージがあるチョコレートケーキを「想像以上に軽くさっぱりさせる」こと。そして30年来の洋菓子作りで考え続けてきた「フードロス」の問題である。

 ロールケーキは普通、焼き上がったスポンジ生地にクリームを塗ってそれを筒状に丸めてカットをする。ショーケースではその断面を見せるようにして並べられる。その際にミミの部分は見た目がよろしくないので切って廃棄してしまう。それをやめる、と岡井さんは決断した。

筒状のロールケーキの左右のミミは、さしずめ巻き寿司なら「端」と呼ばれる部分にあたる。具がはみ出ていておいしい部分だ。

「レクラのロールケーキ」(1本)は、フードロスの一環として通常カットされる端の「ミミ」をあえて残して販売。専用のBOXもあるので、手土産にもぴったり。

 そうして企画された「レクラのロールケーキ」は、一切れにカット(432円)されたものと、4カット分と片ミミ付きの1本(1,620円)の2バリエーション。1本の方がミミ部分が付くので実はお得になる。これは、なるほど気の利いた「おもたせ」アイテムだ。

 さて、そのロールケーキ。チョコレートのシフォン生地に巻かれたシャンティショコラクリームは、バターを使っていない。さすがチョコレート専門のプロフェッショナルがつくる極上のカカオの味だ。おまけに大きく切ってフォークに乗せて食べてれば、「飛んで行きそうなぐらい」軽いタッチだ。

 真ん中にカスタードクリームと生チョコのガナッシュがアレンジされているのがわかる。その部分は「始めに」ではなく、途中から食べるように「仕込まれている」のだ。チョンと乗せられた板チョコもしかり。なかなか憎い気配りである。

 軽くてどんどんイケる「ショコラティエの手による」ロールケーキ、「もう一個買っとけばよかった」となるに決まっているので、ミミ付きの方でいっとこう。

 今号のおもたせ

ショコラブティック レクラの「レクラのロールケーキ」

¥1,620(1本)

(取材・文/江 弘毅)

江 弘毅(こう・ひろき)

編集者・神戸松蔭女子学院大学教授。街の食文化を独自の視点で捉える考察に定評があり、新聞や雑誌などの連載多数。著書に『いっとかなあかん店 大阪』『神戸と洋食』など。最新刊は『問い直しファッション考』。

ショコラブティック レクラ(グルメブティック メリッサ内)

リーガロイヤルホテル(大阪) 1階

大阪市北区中之島5-3-68

TEL 06-6448-2412(直通)

10:00 ~19:00 年中無休

※料金はすべて税金・サービス料金を含みます。
※写真はイメージです。
※メニュー内容は季節・食材の入荷状況により変更する場合がございます。
※状況により、営業内容を変更する場合がございます。ご利用の場合は事前にご確認ください。

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