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京都・上京~東山 料理の名脇役と出合う旅

※当記事は『The ROYAL』2021-2022 年秋冬号でご紹介した内容です。商品やサービスの内容・料金は変更になっている場合があります。

リーガロイヤルホテル京都 リーガグラン京都からはじまる旅

澤井醤油本店

世界無形文化遺産にも登録された日本の和食。そのルーツとなる茶懐石や精進料理を育んだ京都には、素材の色と味を生かした料理に欠かせない醤油や味噌、酢などをつくる老舗があります。その味と歴史を訪ねて、京都市在住のライター杉本恭子さんと京の街を歩いてみましょう。


写真/吉田亮人

我が台所の〝守り神〞こと京の老舗の調味料。

澤井醤油本店
1879(明治12)年創業。虫籠窓むしこまどのある町家と白壁の土蔵は、昔ながらの京都の商家の佇まい。

「良いお出汁と調味料があれば、実力の五割増しで料理できる」、これが料理の腕に自信のない私の台所哲学である。薄味好みなので、つい頼りにするのが京の調味料。昨年以来、京の味噌や醤油や酢が、おうちごはんの日々をどれほど支えてくれただろうか…。日頃の感謝の気持ちを込めて、今回の旅のテーマは、我が台所の〝守り神〟を訪ね歩く、「聖地巡礼」に決めた。

写真右は本店限定のりんご型びん醤油で、さしみ醤油、二度熟成醤油がある。他には、和食の必需品「まるさわ 京料理用淡口醤油」(各種サイズあり)や、“もろきゅう”などお酒のアテにもぴったりの「京もろみ」など様々な商品がそろう。

 晴天にごきげんな京都タワーを見上げてから、地下鉄烏丸線で丸太町駅へ。新町通を北上すると「澤井さわい醤油しょうゆ本店」の大きな白壁の土蔵が見えてきた。職人さんが働く工場と店舗がつながる昔ながらの商家の佇まいは、今や京都でもなかなかお目にかかれない。土蔵の大きな屋根を眺めながら、「もろみ」と書かれた看板のかかる正面玄関へ。暖簾の向こうには、お腹の底をくすぐるもろみの香り…。並んで鎮座する大きな杉樽に思わず「いつもお世話になっています」と手を合わせたくなる。自宅用には、いつもの「まるさわ 京料理用淡口醤油」。お土産には多彩なデザインの醤油びんから、本店限定「りんご型びん醤油」を選んだ。

本田味噌本店
1830(天保元)年創業。丹波杜氏だった初代・丹波屋茂助が麹づくりの腕を見込まれて味噌を献上して以来、御所御用を勤めてきた歴史がある。
きめ細かな滑らかさにため息が出る看板商品「西京白味噌」(500g¥648、300g¥486)(写真左)。色の美しさ、まろやかな甘みは、都の華やかな文化に育まれた味。

 お次は、室町通の「本田(ほんだ)味噌(みそ)本店」へ。キリッとした店構えに、御所御用達の歴史を感じる。味噌といえば日本の代表的な保存食だが、京都の白味噌は宮中の有職料理や茶懐石、禅寺の精進料理など、華やかな文化に磨かれたもの。麹を贅沢に使うので、味は甘くまろやかで塩分も低い。中でもこちらの「西京(さいきょう)白味噌」は絹のごとく滑らかな舌触りだ。お出汁に溶く瞬間の白の広がり、お椀に散らす薬味の色が映えること!京の味は目にも舌にも美しい。

虎屋菓寮 京都一条店
()(よう)(ぜい)天皇の御代(1586〜1611年)より5世紀にわたり御所御用を勤めてきた菓子司・虎屋の創業地でお茶とお菓子を楽しめる。中庭を見渡せるテラス席や開放的な店内で、ゆったりとした時間を過ごすことができる.
写真左は寒天と色とりどりの琥珀羹に、虎屋の羊羹と同じ小豆で炊いた餡と季節の蜜漬けの果物をトッピングした「あんみつ」(¥1,320)

 少々荷物が重くなってきたので、お向かいの「虎屋菓寮(とらやかりょう)」で休憩。ここは、室町時代から御所御用を勤めてきた菓子司・虎屋創業の地。日本を代表する建築家・内藤 廣が設計した店舗と庭も一見の価値ありだ。吉野杉の高い天井が描くアーチが空間の内外をゆるやかにつなぎ、開放感を生んでいる。本棚には、京都、建築、美術などに関する約600冊の書籍も。五感を開放して、庭の水盤に映る景色を眺め、この地に受け継がれた文化を感じてほしい。疲れた体に、あんみつが染みる。少し甘く後味のよい虎屋の餡もやはり、京都の味だと思う。さて、本棚の本を読んでしばらくここで過ごそうか。それとも紅葉が美しい京都御苑も近いので、ぶらぶら歩いてみようか? 思いあぐねる時間もまた旅の醍醐味。

【DATA】

澤井醤油本店

京都市上京区中長者町通新町西入ル仲之町292 

TEL 075-441-2204

9:00~17:00 (日・祝日10:30~15:30)

不定休・年末年始休 

本田味噌本店

京都市上京区室町通一条上ル小島町558 

TEL 075-441-1131 

10:00〜18:00 

日曜・年末年始休 

虎屋菓寮 京都一条店

京都市上京区一条通烏丸西入ル広橋殿町400

TEL 075-441-3113 

10:00〜18:00

元日・毎月最終月曜(12月を除く)休

まろやかな美味を求め八坂・祇園をぶらり歩く。

京のごまや 祇園むら田
1920(大正9)年創業。料亭菊乃井をはじめとした、京都の料亭御用達の割烹材料卸の老舗。石塀(いしべ)小路(こうじ)の入り口近くの風情漂う界隈に店を構える。
店舗では、白黒の煎りごま、練りごまのほか、鰹節や刻み海苔、ふりかけ、生麩なども取り扱う。

 人気観光地の八坂・清水周辺も、朝一番なら人も少ない。漂ってきた削り節の香りを追いかけると、「祇園むら田」にたどり着いた。真新しい店舗には、白黒の煎りごま、練りごまが整然と並ぶ。こちらのごまは焙煎が均一で色が明るい。擦るとしっとりと柔らかく、ふわっと立ち上がる香りがとても華やかだ。練りごまはごまだれはもちろん、はちみつと混ぜてトーストに塗れば、朝食の幸福度がぐんと上がる。

村山造酢
江戸享保年間(1716〜1736年)創業。元禄時代以降盛んになった友禅染の色止めに酢が使われたことから、現在も鴨川の友禅流しがラベルの意匠に残る。リーガグラン京都の「Dining & Lounge KOTONA」では千鳥酢がピクルスに使用されている。
写真左から新発売の純米千鳥酢(500ml、¥734)、千鳥酢(360ml、¥486)、スタイリッシュな卓上用「CoChidori(こちどり)」(100ml、¥518)。

 八坂を下り祇園を散策しながら、「千鳥(ちどり)()」の醸造元・「村山造(むらやまぞう)()」へ向かう。何を隠そう、私を京都の調味料に目覚めさせたのがこの千鳥酢。まろやかでやさしい酸味とすっきりした旨みは、和食のみならず白ワインやオリーブオイルにも調和する。自宅にて、本田味噌の「西京白味噌」と合わせて酢味噌にすると、驚くほど相性が良い。きゅうりを和えるだけで立派な一品になった。この秋には、「純米千鳥酢」を発売。南丹市産・きぬひかりのさっぱりしつつ柔らかい米の甘みを生かしたという、老舗の新しい味に期待大だ。

京都ゑびす神社
1202(建仁2)年、建仁寺開祖・栄西禅師によって建立された。兵庫・西宮神社、大阪・今宮戎神社と並んで「日本三大ゑびす」と称される。毎年1/8〜12の「十日ゑびす大祭」では参道に露店が並び、商売繁盛を願う人々で深夜まで賑わう。
いつの時代からか「ゑびす様は大変ご高齢の神様で耳が不自由。肩を叩くように、戸を叩いてお願いごとをすると聞いてもらえる」と言われる

道中、「京都ゑびす神社」にも参拝した。ここでは本殿で参拝後に、本殿横の木戸を叩いてもう一度お参りする風習がある。今回出合ったお店の繁盛を願いながら、トントンと木戸を叩いた。

【DATA】

京のごまや 祇園むら田

京都市東山区祇園下河原通下河原町478

TEL 075-561-1498 

10:00~17:30

日曜・祝日・水曜不定休・年末年始休

村山造酢

京都市東山区三条通大橋東入ル3丁目2番地

TEL 075-761-3151

8:30〜17:00

日曜・祝日・年末年始休

京都ゑびす神社

京都市東山区小松町125 

TEL 075-525-0005

9:00〜17:00(御宝印受付は16:30まで)

※特に記載のない場合、料金は税金・サービス料を含みます。
※各施設、営業時間に変更のある場合がございます。ご利用の際はご確認ください。
※当記事は『The ROYAL』2021-2022年秋冬号でご紹介した内容です。商品やサービスの内容・料金は変更になっている場合があります。

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