“大阪の迎賓館”進化し続けるホテルの新しい顔。
※当記事は冊子『The ROYAL』2019年夏号でご紹介した内容です。
「賓客のための近代的ホテルを大阪に」。大阪政財界のそんな声から“大阪の迎賓館”として1935年に誕生し、以来80余年の歴史と伝統を育みながら、進化し続けてきたリーガロイヤルホテル。
2019年6月、国内外のVIPを始めとするお客様をお迎えするホテルの「顔」、1階メインロビーが生まれ変わります。
1965
大阪政財界の「賓客のための近代的ホテルを大阪に」との声から、政財界の有力者がこぞって参画した「大大阪」あげての大プロジェクト。それが1935年に誕生したリーガロイヤルホテルの前身となる「新大阪ホテル」でした。
1965年には、堂島川の南、現在のリーガロイヤルホテルの敷地の一角に、新たに「大阪ロイヤルホテル」が完成。日本建築の大家で文化勲章受章の故吉田五十八氏らによる意匠設計で、大島絣に見られる十字絣模様にアレンジされたタイル張りのホテル外壁をはじめ、内部には文化価値の高い美術品がそこここに。1階メインロビーには、訪れる人の目を引く手織中国緞通が敷かれ、優美で贅沢な空間でお客様をお迎えしました。
1973
その8年後、135%の大増築を経て、1973年に新館(現タワーウイング)が完成。「ロイヤルホテル」と名も新たに、地上30階、地下2階、客室数は当時東洋一の規模を誇る1565室の、名実ともに「大阪の迎賓館」がグランドオープンしたのです。
この新生「ロイヤルホテル」開業当時より、国内外の賓客からも高い評価を得てきたのがメインロビーから奥のメインラウンジへと続く空間でした。正面ロビーに一歩足を踏み入れると、まず目を奪われたのが床を彩る豪華絢爛な万葉文様の大緞通。正面奥のメインラウンジまでの距離を感じさせまいとする吉田五十八氏の意匠によるもので、ダウンライトに浮かぶ緞通が柱の鳥模様金蒔絵とあいまって、ロビー空間に華麗な雰囲気を醸し出しました。
2007
お客様をお迎えするホテルの「顔」であるメインロビーは新館の開業以降、2007年に改装。以来12年ぶりとなるリニューアルにより、2019年6月、再び大きく生まれ変わりました。
2019
建築家、吉田五十八氏の思想やホテルの歴史を紐解きながら、現代のクリエイターたちが最新の技術やデザインを融合させたメインロビー。「伝統と革新」をテーマに、緞通、照明、サインなど当時の空間を現代に甦らせ、お客様を晴れやかにお迎えいたします。
歴史と伝統を育みながら進化し続けるリーガロイヤルホテルの新しい顔を、ぜひご覧ください。
日本を代表する建築家、吉田五十八氏による思想を受け継ぎながら、“日本の伝統美”と最新の技術やデザインを融合。
1973年の新館(現タワーウイング)開業から2007年まで、1階メインロビーを飾っていた大緞通「万葉の錦」。2019年6月の改装では、新館開業当時から製作に携わった「オリエンタルカーペット」が、伝統的な「山形緞通」による手刺の緞通で、「万葉の錦」を現代的にリデザインしています。
能装束から着想を得た紅葉模様の大柄なアレンジにより、柱の細かい模様とのコントラストが生まれ、それぞれが引き立て合うよう柄サイズを検討。その結果、新しい緞通の紅葉柄は1973年当時の2倍の大きさになっています。新生紅葉の上に立つと、不思議なスケール感を味わえることでしょう。
製作過程
「伝統と革新」の融合デザインを制作するのは現代のクリエイター。当時の色を再現するために、緞通の色検証では既存(1973年使用)の糸サンプルと600色のサンプルを見ながら、色の組み合わせを検討。
メインロビーの奥に広がるのは、1973年当時から変わらず高い評価を得てきた、意匠を凝らしたメインラウンジ。
「大阪ロイヤルホテル新館ロビーの奥に、小川が流れている。」
1973年、新館ロビーとメインラウンジについて、そんな一文から始まるエッセイを寄稿されたのは、独創的な墨象(水墨の抽象画)などで世界的に名高い美術家の篠田桃紅氏でした。
エントランスから新生「紅葉の緞通」を進めば88m奥に広がるのは、当時から変わらぬ優美さをたたえたメインラウンジ。篠田氏が小川と表した曲水の落ち口には、滝壺まで約9mの落差を持つ滝庭、四季折々に表情を変える日本庭園を今も望むことができます。