「賓客のための近代的ホテルを大阪に」。大阪政財界の要望を受け、「大大阪」を象徴するプロジェクトとして1935年にリーガロイヤルホテルの前身となる新大阪ホテルが誕生しました。以来、時代の変遷とともに常に進化し続け、伝統を築き上げてきたリーガロイヤルホテルの90年の歴史を辿ります。
1995年のAPEC(アジア太平洋経済協力)大阪会議後も、リーガロイヤルホテルは多くの国際会議や晩餐会の舞台に選ばれ、国内外の賓客をお迎えすることになりました。
2019年6月に開催された「G20大阪サミット」は、日本初開催のG20であり、各国から VIPが多数来阪されました。リーガロイヤルホテル大阪ではG20大阪サミットを機に、ホテルの「顔」とも言える1 階メインロビーの空間を一新。緞通や照明などのインテリアに“伝統と革新”をテーマとしたデザインを施しました。特に、1973年の新館開業当初から親しまれた緞通「万葉の錦」は現代感覚でリデザインされ、紅葉模様を大柄にアレンジ。新館開業当時から製作に携わったオリエンタルカーペットの伝統的な「山形緞通」による手刺しの緞通が鮮やかにメインロビーを彩りました。
G20大阪サミットでは、ロシア・イタリア・EU・ベトナム・OECD(経済協力開発機構)の首脳・閣僚のご宿泊に加え、日中首脳会議などの二国間会議なども開かれました。それぞれの国により“おもてなし”はさまざまで、ベトナムのグエン・スアン・フック首相の場合は、朝食にアワビスープとお粥のリクエストがあり特別にご用意。どちらもルームサービスにはないメニューでしたが、ホテルスタッフで構成された要人の専属チーム“リエゾン”が機転をきかし「中国料理 皇家龍鳳」に調理の協力を依頼して提供することができました。このように、APECなどの経験から培われた“おもてなしの心”で、世界的に重要な国際会議の舞台としての重責を果たすことができました。
2023年5月には「G7広島サミット」が開催され、リーガロイヤルホテル広島では各国要人のご宿泊に加え、岸田 文雄首相とジョー・バイデン大統領による日米首脳会談の舞台にもなり、大きな話題を呼びました。G7広島サミットでも、リーガロイヤルホテルグループで専属チーム“リエゾン”を結成し、国際会議の開催中、各国の要人がホテル内で安全に過ごせて、かつ滞りなく任務が遂行できるようにサポートを行いました。
リーガロイヤルホテル広島は、1955年に誕生した新広島ホテルと7年後に移転オープンした広島グランドホテルの歴史を引き継ぎ、開業以来、“広島の迎賓館”としての役割を担ってきました。
1935年に“大阪の迎賓館” として誕生したリーガロイヤルホテルは、90年の歴史と伝統を育みながら、今後も国際会議や迎賓館での接遇において、世界の要人をもてなすことは、このホテルの使命と言えるでしょう。
リーガロイヤルホテルは、2024年から1年以上をかけて大規模改装を行い、90周年を迎えた2025年、IHGホテルズ&リゾーツのラグジュアリー&ライフスタイル・ボートフォリオのコレクションブランドである「ヴィニェット コレクション」に加わりました。
今回の大改装では、日本を代表する建築家・吉田 五十八(いそや)氏が築き上げた「日本の伝統美」を取り入れた和洋折衷のレガシーや歴史、これまで培ってきたアイデンティティを最大限に尊重しながら、中之島という水の都ならではの周囲に広がる美しい景観の魅力を合わせた「伝統美と水の融合」をコンセプトに掲げ、時代を超えて愛される空間へと生まれ変わりました。
エントランスを抜けてロビーへ入ると、目に飛び込むのは鮮やかな色彩の大段通「万葉の錦」。鳥模様金蒔絵の柱とともに歴史に敬意を表して継承しつつ、より広々と、新鮮な空間に仕上げています。
レセプションでゲストを出迎えるのは、西陣織の老舗「HOSOO(ほそお)」による“ふくらし織”の屛風。レセプションカウンターのガラスアートも、水を思わせる美しさです。
改装はロビーのみならず、宴会場やレストラン、客室などを全面的に刷新し、グローバル基準の設備とおもてなしを兼ね備えたラグジュアリーホテルが誕生しました。
全てはお客様に愛され続けるホテルであるために、、、。90年の長きに亘り大阪を代表するリーガロイヤルホテルは次の節目となる100周年に向けて歩み出しました。
(文・道田 惠理子 / 140B)
リーガロイヤルホテル大阪
ヴィニェット コレクション
TEL 06-6448-1121
大阪市北区中之島5-3-68