リーガロイヤルホテル(大阪)のエントランスからメインロビーにかけての空間は、開け放たれているような爽やか感がある。それはまるで日本建築の空間構成のようでもある。
ドアマンに案内され館内に入る。するとまるで、玄関からそのまま続く広い三和土た た きの土間座敷、そして見通しのきいた取次がありその奥に客間があるようだ。客間の奥には滝のある庭までのぞいている。メインロビーでわたしたちは、すでに靴を脱いで家人に出迎えられたようなくつろぎを感じる。数寄屋建築す き や け ん ち くを現代流に解釈した、まことに巨匠・吉田五十八よ し だ い そ や氏の設計らしい空間だ。 そのメインロビーにある金蒔絵き ん ま き えの柱。これも吉田五十八氏デザイン( 縣あがた治じ朗ろう 氏制作)のものである。平安朝時代の織物に使われた鳥をモティーフにした図柄は、繊細で力強く、あでやかであり奥床しい。まさに和の美の象徴であり、時を超えて上方〜日本のおもてなしの心を世界に伝える、心憎いまでのデザインである。1965(昭和40)年完成。
(文/江 弘毅 写真/ハリー中西)
リーガロイヤルホテル大阪
ヴィニェット コレクション
TEL 06-6448-1121
大阪市北区中之島5-3-68