STORY

二度目の大阪万博に“おもてなし”のバトンを繋ぐ

ロイヤルな舞台

 創業より90余年、ロイヤルホテルの歴史や、文学や映画で描かれたエピソードなど、ロイヤルを舞台にした物語の数々をご紹介します。

 いよいよ4月に、2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)が開催される。大阪での万博開催は1970年から55年ぶりの2回目となる。

 ロイヤルホテルは、1970年の日本万国博覧会(以下、大阪万博)では迎賓館と当時は非常に珍しかった鮮魚を展示した水中レストランの運営を担当し、数多くのレセプションやディナーにて“おもてなし”の心でお客様をお迎えした。そして、 大阪・関西万博においても、迎賓館業務を担当することとなった。

 創業の地、大阪で再び開催される万博への参画を機に、1970年の大阪万博の様子をご紹介したい。

新大阪ホテル初代支配人で後に大阪ロイヤルホテル社長に就任する郡司ぐんじ しげる氏の著書『うんどんこん』(毎日新聞社発行)には、「万博会場の日本庭園の西端に建てられた迎賓館は、平安時代の建築様式を際立たせた鉄筋コンクリートの平屋造りの建物で、レセプション・ホール の壁には京都西陣が総力をあげて織り上げたタペストリーが掛けられ…」と、その豪華さが記されている。

 1970(昭和45)年3月15日~9月13日の183日間、「人類の進歩と調和」をテーマとした大阪・千里丘陵で開催された大阪万博は、世界77ヶ国が参加し、事前予想をはるかに上回る約6420万人が訪れた。まさに、国をあげての一大プロジェクトだった。

 大阪万博は世界各国の文化や当時の最新技術に触れる貴重な機会となり、中でも海外のパビリオンでは本国から呼び寄せられたスタッフによるレストランが開設され、「世界の食」が人気を集めた。

 大阪ロイヤルホテルでも、開催4年前の1966(昭和41)年7月から、を設置し、会期中はホテルでの国内外VIPの接遇に加え、万博会場内ではレストランとでサービスと料理を提供することとなった。

 日本のホテルを代表する形で、大阪コクサイホテルとともに「迎賓館」では約50カ国の賓客を迎え入れた。また、栄えある日本ナショナルデーのレセプションも担当し、大阪府や市、商工会議所開催の開・閉会レセプションなどの宴会を含め、合計88回にのぼるナショナルデー、スペシャルデーを執り行った

水中にいるかのような幻想的な店内演出の「水中レストラン」では、グランドピアノの生演奏を聞きながらゆったりと食事ができると、連日多くの人で賑わった。

 併せて、キッコーマン醤油の企画施設である「水中レストラン」にも参画。店内の魚が回遊する水槽を巡らせた斬新なデザインは、世界的インテリアデザイナーの剣持けんもち いさむ氏が担当し、40トンの海水にハマチやタイ、ヒラメなどの鮮魚が泳ぐ水槽2基は近畿大学によるものだった。

1970年6月30日には水中レストランに皇太子殿下ご夫妻をお迎えした。

 大阪ロイヤルホテルは醤油を使った西洋料理を考案し、3種類の醤油で味わう「鉄板焼きステーキ日本風」は人気を博し水中レストランは連日の大入り満員だった。博覧会の名誉総裁を務められた明仁皇太子殿下と美智子妃殿下(現・上皇・上皇后殿下)のご来臨も賜り、期間を通じて約24万人の方が足を運んだ。

大阪ロイヤルホテルで行われた各レセプションの様子。(写真左)ジャパンナショナルデー(写真中)ウガンダ万博レセプション(写真右)クウェート万博レセプション。

 さらに、大阪ロイヤルホテルの宴会場では数多くの関連レセプションが開催された。また、天皇・皇后両陛下や各皇族のご来泊をはじめとし、各国元首、大臣など政府来賓のご来泊は、合計70回以上にも及んだ。

 2025年4月から開催の大阪・関西万博においても、リーガロイヤルホテルは迎賓館運営業務を担当することとなり、公式行事としてのナショナルデー、スペシャルデーや、パビリオンの視察などにより国内外からお越しになる賓客の方々をお迎えする。1970年の大阪万博での経験をもとに、リーガロイヤルホテルならではの“おもてなしの心”で、日本全体や大阪・関西万博の魅力を届けてもらいたい。

(文・道田惠理子/140B )

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