創業からの歴史を見続けたロビーの柱
※当記事は『The ROYAL』2008 年 9・10 月号でご紹介した内容です。
The ROYAL SIGN ザ・ロイヤルサイン
-リーガロイヤルホテルのたから探し-
リーガロイヤルホテル(大阪)のエントランスからメインロビーにかけての空間は、開け放たれているような爽やか感がある。それはまるで日本建築の空間構成のようでもある。
ドアマンに案内され館内に入る。するとまるで、玄関からそのまま続く広い三和土の土間座敷、そして見通しのきいた取次がありその奥に客間があるようだ。客間の奥には滝のある庭までのぞいている。メインロビーでわたしたちは、すでに靴を脱いで家人に出迎えられたようなくつろぎを感じる。数寄屋建築を現代流に解釈した、まことに巨匠・吉田五十八氏の設計らしい空間だ。
そのメインロビーにある金蒔絵の柱。これも吉田五十八氏デザイン( 縣治朗 氏制作)のものである。平安朝時代の織物に使われた鳥をモティーフにした図柄は、繊細で力強く、あでやかであり奥床しい。まさに和の美の象徴であり、時を超えて上方〜日本のおもてなしの心を世界に伝える、心憎いまでのデザインである。1965(昭和40)年完成。
(文/江 弘毅 写真/ハリー中西)