
大阪・池田〜吹田 作って学ぶ“企業ミュージアム”
※当記事は冊子『The ROYAL』2023-24年秋冬号でご紹介した内容です。商品やサービス内容・料金は変更になっている場合があります。
リーガロイヤルホテル(大阪)からはじまる旅

大阪市内から北へ車で約30分。緑豊かな北摂と呼ばれるエリアには、世界に誇る大阪の“モノづくり”の歴史や技術を紹介する企業ミュージアムがあります。
池田から世界へ羽ばたいた日清食品の創業者・安藤百福 の「発明・発見」の大切さを伝える「カップヌードルミュージアム 大阪池田」と創業の地・吹田で「キレイ」と「おいしい」を伝える「ダスキンミュージアム」です。
今回は、大学時代を北摂エリアで過ごしたライターの山國恭子さんに、企業ミュージアムを案内してもらいましょう。 写真/岡安いつ美(五月山動物園、服部緑地公園は一部提供)
あきらめない執念が世界の食文化を変えた

大阪府池田市発祥、世界中で愛される「カップヌードル」を生み出した日清食品の創業者である安藤百福。その発
明・発見の大切さを、インスタントラーメンの歴史を通して、楽しみながら学べる体験型食育ミュージアム。

リーガロイヤルホテル(大阪)でレンタカーを借りて、高速道路を約20分走り、さらに国道176号を進むと「カップヌードルミュージアム 大阪池田」に到着。国内外の観光客が開館前から大勢並んでいた。
中に入ると、日清食品が生み出した約800種の歴代商品のパッケージが飾られた「インスタントラーメン・トンネル」がお出迎え。日清食品の創業者である安藤百福が、1958年に世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」の開発に成功した原点である「研究小屋」も再現されている。この小屋で研究を始めた頃、百福は事業に失敗し、ほとんど無一文の状態だったそう。そのような逆境下でも「無くしたものは財産だけ!」と前向きに研究に勤 しみ、当時の常識では考えられなかった、「お湯があれば家庭ですぐ食べられる ラーメン」の開発を成し遂げた。

百福は終戦時に、たった1杯のラーメンを求めて、人びとが屋台に行列を作る光景を目の当たりにしていた。食糧難を経験していたからこそ、インスタントラーメン開発への 執念はとてつもないものであっただろう。その後も飽くなき探究心で、1971年に「カップヌードル」、2005年、95歳の時には宇宙食ラーメン「スペース・ラム」といった画期的な商品を誕生させた。その歴史は「安藤百福とインスタントラーメン物語」の展示で年代順に紹介されている。さらに「カップヌードルドラマシアター」では、そのエピソードをアニメで観ることができ、より理解を深めることができた。


「マイカップヌードルファクトリー」は、世界で一つだけのオリジナルのカップヌードルを作ることができる工房で、自分でデザインしたカップに好みのスープと具材が選べる。旅の思い出にはぴったりだ。百福のように、「年齢や境遇に拘らず、やりたいことは挑戦してみよう」と、晴れやかな気持ちでミュージアムを後にした。
自然豊かな五月山で可愛い動物に癒やされる


次は、マンホールのイラストにも描かれている「五月山動物園」の人気者、ウォンバットに会いに「五月山公園」へ。1990年にオーストラリア・タスマニア島からやってきた人気者だが、飼育されている動物園は日本では2カ所しかないそうだ。そのチャーミングな姿には思わず笑みがこぼれる。園内は20分もあれば1周できるほどの小さな動物園だが、入園料が無料なのはうれしい限り。ワラビーやアルパカなどの動物もいて、心から癒やされるひと時を過ごした。

写真提供:五月山動物園
【DATA】
カップヌードルミュージアム 大阪池田
大阪府池田市満寿美町8-25
TEL 072-752-3484(9:00~16:30 休刊日を除く)
9:30〜16:30(最終入館は~15:30)
火曜(祝日の場合は翌平日)、年末年始休
五月山公園/五月山動物園
大阪府池田市綾羽2丁目5-33
TEL 072-753-2813
動物園/9:15〜16:45 火曜休
60年前から〝サステナビリティ〞

ミスタードーナツの歴史やおいしさの秘密を紹介する「ミスドミュージアム」と、おそうじについて楽しく学べる「おそうじ館」で、新たな発見を。「キレイ」と「おいしい」がたくさん詰まったミュージアム。
再び車に乗り、約20分のドライブをして吹田市の「ダスキンミュージアム」へ。1階は老若男女に愛されるミスタードーナツの「ミスドミュージアム」だ。館内には、ミスタードーナツの歴史や歴代の商品、オリジナルグッズといったミスドファンには垂涎の展示に囲まれ、気分もウキウキ。早速、オリジナルドーナツが作れる「ドーナツボールトッピング体験」をする。



2階はそうじに関する歴史や道具を楽しく学べる「おそうじ館」。昨今では“サステナビリティ”という言葉が浸透しているが、1963年の創業当初から「物を大切に、繰り返し使う」という発想で、清掃用品のレンタルを中心に事業を展開してきた。水を使わずにそ うじができる化学ぞうきん「ホームダスキン」の開発には、冬に冷たい水でぞうきんを絞るという苦行から解放したいという、創業者・鈴木清一の思いがあったそうだ。
府下最大級の憩いの場で紅葉を満喫
最後に、紅葉を見に「服部緑地」をぶらり。赤や黄色に色づいた木々の風景は、まるで優雅な絵画のようだった。
今回訪れた企業ミュージアムは、どちらも発明や発見の楽しさを追体験する学びの場であり、そのアイデアを実現する執念は、現代社会を生きる私たちにとってもヒントがありそうだ。


甲子園球場の約33倍という大阪府下最大級規模の都市公園。無料で入場できる公園内には遊具もたくさんあり、四季折々の自然を楽しみながら思う存分遊べる。都市緑化植物園や日本民家集落博物館などもあり、スポーツや音楽のイベントも多数開催。
レンタカーを利用するなら
ホテル内アネックス1階のトヨタレンタリース新大阪 中之島リーガロイヤルホテル店へ。観光・ビジネスなどの移動手段として便利に利用できます。
トヨタレンタリース新大阪 中之島リーガロイヤルホテル店(ホテル内アネックス1階)
TEL 06-6479-0100
8:00~20:00
年中無休
【DATA】
ダスキンミュージアム
大阪府吹田市芳野町5-32
TEL 06-6821-5000
10:00〜16:00(最終入館は~15:30) 月曜(祝日の場合は翌平日)、年末年始休
※専用の駐車場はございません。車でお越しの際は周辺の有料駐⾞場をお使いください。
服部緑地
大阪府豊中市服部緑地1-1(服部緑地管理事務所)
TEL 06-6862-4945(9:00a.m.〜5:00p.m. 年末年始休)(服部緑地管理
事務所) ※服部緑地内の施設はそれぞれ異なる。
